交通事故の状況は千差万別で解決法もさまざまです。加害者、被害者の過失割合の決め方、示談の方法、賠償額の算出法など法律的な 専門知識を必要とすることも多いのですが人任せにせず基本的なことを理解したうえで円満な早期解決を図りましょう
A 被害者が負傷して入院した場合加害者としてお見舞いに行くのは気が重いものですがタイミングを外さず早めに行くことです。
被害者側にも過失があったと思われる場合でもいきなりそれを表に出すようなことは慎み
当方に明らかな過失があればわびるようにし相手の不幸を思いやる気持ちを表現しましょう。
これはその後の示談交渉を円滑に進めるためにも大切なことでこれをしないとこじれる原因にもなります。
ただしお見舞いの際には賠償金の額や支払い方法についての話は口にしないように注意します。
被害者にとっては突然の入院で出費もかさむときですからお見舞いを持っていくなら品物よりも現金がいいでしょう。
負傷の程度や過失の割合にもよりますが見舞金はある程度まとまった額を用意して封筒に入れ渡します。
見舞金は示談の話し合いで賠償金の一部に組み込むこともできるので領収書をもらいにくい場合は小切手を使うのもよいでしょう。
A 交通事故では加害者が常に100%悪いというわけではありません。
ときには死亡事故でも被害者に100%の過失を認めるケースもあります。
両側に駐車車両がぎっしり並んでいる道路で車の陰から飛び出してきた幼児と走行車が接触事故を起こした場合
走行車が注意して徐行していたとしたらこの事故は不可抗力とみなされます。このように加害者の過失の割合がゼロになれば刑事的責任を問われることもないでしょう。
加害者と被害者の過失の割合を決めるのはとてもむずかしく示談でもめる大きな原因もこの点にあります。
加害者としては被害者の過失を主張するのはなかなか勇気がいりますが、供述の際にははっきりと事実を話して警察にさらに詳しい調査を依頼してみるのもいいでしょう。
A 車を貸した友人が人身事故を起こしたという場合車の所有者は「運行供用者」として賠償責任を負うということが法律で定められています。
事故を起こした友人が第一の賠償責任者であることはいうまでもないのですが、友人が独自の保険に加入していない場合被害者は救済されません。
ところが車の所有者なら少なくとも強制保険に入っているので事故の際には車の所有者に賠償責任があるということにしておけば被害者もいくらかは救われるわけです。
車を貸し借りするときにはこのへんの事情も考えて慎重にしたいものです。
盗まれた車が事故を起こしたときや車の所有者に管理上のミスがない場合、盗まれてから日数が経過しているような場合には車の所有者が賠償責任を問われることはまずありません。
A 親子、夫婦、恋人同士、親しい友人・知人同士が無償で車に同乗することを「好意(無償)同乗」といいますが、
好意同乗中の事故でも被害者である同乗者は加害者である運転者に損害賠償を請求することができます。
その場合被害者のほうに過失が認められるときには減額されます。
例えば運転者が酒気帯び運転、あるいは極度の疲労状態なのを知りながら同乗した場合には
運転者に対して運転を制止することもできたはず、ということで同乗者に過失ありとされるケースが多くなります。
恋人が免許取りたて、つまり運転が未熟であることを承知して同乗した場合も多少の過失が認められることになるでしょう。
ただし事故が運転の未熟に起因するものでない場合は過失相殺されないこともあります。
同乗者が肉親であっても交通事故では被害者は「他人性」の問題として論じられ被害者に対する賠償金が保険から下りることになっています。