お祝いは特に形式にこだわらなくても、ささやかでも真心込めて祝福するのがいちばんの贈り物。 しかし相手によっては礼儀知らずと取られることもあります。せっかくの心が相手に伝わらないのは残念です。 一応の決まりを知っておくとよいでしょう。
贈り物をするときは、品物に奉書紙などのかけ紙をして、水引を結ぶのが正式な方法です。
水引は、品物をしっかりと結び留めるための「こより」が変化したもので、
普通5本がひとまとめになったものを使いますが、結婚祝い用は10本で豪華さを出しています。
祝儀袋も結婚祝い用に松竹梅、鶴亀などのおめでたいモチーフをデザインした飾り水引があります。
水引の結び方には結び切りと蝶結びがあります。結び切りはほどけないようにしっかりと結んだ固結びで
「同じことを2度くり返さない」との願いが込められていて、結婚祝いや快気祝い、弔事に使います。
あわび結びや輪結びも結び切りの一種です。反対に蝶結びはくり返してもよいお祝い事全般に使われます。
祝儀袋やのし紙の右肩についているのしは折りのし≠ニいって紅白の紙を折り、その中心に黄色の細長い帯状のものを包んだものです。
黄色の帯は「のし鮑(あわび)」を表しています。いくつか種類があります。蝶花形が一般的で、特に使い方の決まりはありません。
昔は贈り物を献上するときには品物と一緒に酒や肴を贈る「しきたり」があり、海の幸などの生ものを添えていました。
その後生ものに代わってのし鮑やするめ、昆布といった海産物になりそれが折りのしになりました。
のしをつけることは生ものを添えて贈ることと同じですから、魚介類や果物の場合はのしはつけません。
また弔事、病気や災害見舞いの贈り物にもつけません。
のしと水引が印刷されたのし紙≠ナ包むのは略式で、その場合、包装紙はのし紙を掛けた上から包むのが正しいやり方です。
表書きを書く場合、字の上手へたよりも相手にわかりやすいことが第一です。
楷書ではっきりと書きましょう。特にくずした字は目上の方には失礼にあたります。
慶事は濃く、弔事には薄墨で書くのが「しきたり」です。できればサインペンなどではなく毛筆で書くようにしたいもの。毛筆が無理なら筆ペンでもいいでしょう。
表書きは、祝儀袋の上段の真ん中に書きます。結婚祝い以外の表書きは「御祝」が一般的。
贈る目的をはっきりさせるために「御祝御入学」「祝御新築」などと具体的に書いてもいいでしょう。
贈り主の名前は下段中央にやや小さめに書きます。フルネームを書くのが正式ですが、簡単な贈り物の場合は姓だけでも、身内や親戚なら名だけでもいいでしょう。
連名で贈る場合は、名前を書くのは3名までとします。それ以上になる場合は代表者名を中央に書き、「外一同」「○○部有志」として、全員の名前は別紙や中包みに書きます。
連名の書き方は向かって右側が上席ですので、目上のかたを右側に書きますが、決めにくい場合は五十音順でもいいでしょう。
贈る相手の名前を左上に書く場合は左側が上席となります。
贈り主の肩書きを入れる場合は、名前の右横に小さく書きます。また、仕事先などに贈る場合に名刺を添えるときは左下にはります。ただしこれは略式です。
「御祝」のほかの表書きは、結婚祝い用に「寿」、出産祝い用に「御安産祝」、お宮参りの神社へのお礼には「御初穂料」など。「寿」は長寿祝いにも使われます。
ささやかな感謝を表す表書きに「寸志」「松の葉」「薄謝」「粗品」などがあります。
「寸志」は感謝の気持ちを込めた心ばかりの品物という意味ですが、目上のかたに対しては使わないとされています。
同等から目上のかたには、「御礼」や「粗品」が一般的です。「松の葉」はささやかなお礼を表すのに、贈り物が映えるとても粋な言葉です。
祝儀袋には普通、紙幣を入れる中包みがついています。金額はこの中包みの表中央に書き、住所・氏名は裏に書きます。
金額を書く場合、漢数字の「壱万円」「弐万円」「参阡円」というように書くのが正式です。
中に入れる紙幣はお祝いの場合、できれば真新しいものを用意しましょう。さりげない気違いはもらった相手に伝わります。なお、弔事用には新札は使わないようにしましょう。
中包みがない場合は、紙幣を半紙などに包み、その上に金額を、裏に住所と氏名を書きます。
半紙の上に紙幣を斜めに置き、紙幣の寸法に合わせてたたみます。縦長になるように置き、慶事用は包み終わりが右からかぶるようになるのが表、弔事用はその逆です。
紙幣を入れた中包みは、奉書紙などでもう一度包みます。これを上包みといいます。
市販のものを使わない場合の上包みのたたみ方は、半紙があればできますから知っておくとよいでしょう。
まず、半紙または奉書紙を縦にして中央に中包みを置き、左、右の順に3つ折りにします。
裏に返し、上、下の順に折ります。必ず下の部分が上に重なるようにします。
不祝儀の場合は折り方も裏側の重ね方もすべて逆です。表に返して水引を蝶結びにし、右肩にのしをつけます。
お金の入った祝儀袋はむき出しのままにしないで、ふくさやふろしきに包んで持参するのが礼儀です。 ふくさは台つきのものが便利。差し上げるときはふくさから祝儀袋を取り出して渡します。 ふろしきの場合は、4つ折りにして使います。慶事用のふくさの包み方ですが、まず「つめ」を右にして祝儀袋を台の上に置き、 左側から折ります。次に上、下の順にたたみます。最後に右側をたたんで「つめ」を留めましょう。 弔事用の包み方は左右上下がすべて逆になるので注意しましょう。