お祝いは特に形式にこだわらなくても、ささやかでも真心込めて祝福するのがいちばんの贈り物。 しかし相手によっては礼儀知らずと取られることもあります。せっかくの心が相手に伝わらないのは残念です。 一応の決まりを知っておくとよいでしょう。
長寿のお祝いは還暦からとされています。しかし、平均寿命が延びた現代では数え年61歳はまだ若く、現役で活躍している人も多いので、
還暦はちょっと豪華な誕生祝いくらいにし、本格的には古稀(こき)または77歳の喜寿(きじゅ)からお祝いします。
普通は、誕生日か敬老の日に祝うのですが、特にこだわらずにその前後でみんなの都合のよい日でも。
両親や祖父母など身内の場合は自宅に家族一同が集まり、仕出し弁当や手料理で、ささやかでも心のこもったお祝いをしてあげましょう。
お年寄りには子どもや孫たちに囲まれてにぎやかに過ごすのがなによりです。また温泉旅行をプレゼントしてもいいでしょう。
学校や習い事の先生の場合は恩師を囲んで食事会を開き、記念品か花束を贈るのもよいでしょう。
品物を贈る場合、ゴルフウエア、筆や硯など、趣味をもっている方にはそれにちなんだものを。
一般的には、老いてますます美しく粋に、との願いを込めて女性なら香水や外国製の石けん、レースのハンカチやスカーフ、男性ならカシミアのマフラー、
赤がポイントのネクタイなど、年齢より少し若向きのものを選びます。
長寿祝いはその1年間がおめでたいとされるので、知人のお祝いをあとで知ったときなどでもお祝いの品物を遅れて贈っても失礼にはなりません。
長寿祝いのお返しは形式にこだわる必要はありません。一般的には、簡単な記念品を祝宴のあとに配り、内祝いとします。
「喜」「米寿」などを染め抜いたふろしきやふくさ、湯飲み茶碗、赤飯や紅白の餅などです。ふろしきやふくさは最近では珍しくかえって喜ばれるかもしれません。
特別にお金をかけなくても、お礼の気持ちを込めて色紙や短冊に記念の言葉を書いてみたり、縫い物が得意な人はふきんや端ぎれで小袋を作ったり、
その人らしい味のあるものが最高のお返しです。
還暦(かんれき) 61歳
数え年の61歳は生まれた年の干支に再び戻る年で「本卦還り」といいます。生まれ変わって1歳から新たに出発するということで、
「赤いちゃんちゃんこ」や「ずきん」を贈る習慣があります。
古稀(こき) 70歳
中国の詩人杜甫(とほ)の「人生七十古来稀」からつけられました。しかし現在では平均寿命も延びて、70歳は稀ではありません。
むしろ古稀を最初の長寿祝いにするようです。
喜寿(きじゅ) 77歳
「喜」という字を草書体で書くと77に通じるところからきたものです。「喜の字の祝い」とも呼ばれ、一般的には扇子に「喜」の字を書いて贈る習慣があります。
傘寿(さんじゅ) 80歳
「傘」の字を簡略に書くと、八十と読めるところから80歳のお祝いとなりました。最近では喜寿、米寿に次いで盛んにお祝いされているようです。
米寿(べいじゅ) 88歳
「米」の字をばらばらにすると八十八と読めるところからつけられて、「米の祝い」ともいいます。このお祝いには長生きのおまじないとして
鳩の飾りのついた杖を贈る習わしがあるようです。
卒寿(そつじゅ) 90歳
これも「卒」の字を略して書くと九十と読めるところからつけられたものです。卒寿のあとは1年1年を長寿祝いとしてお祝いしましょう。
白寿(はくじゅ) 99歳
百の字から上の一の字を取ると「白」となるところから、百引く一は九十九という意味でつけられました。
ますます健やかに長生きしていただくように盛大にお祝いしてあげましょう。
百賀(ひゃくが)100歳
100歳は「百賀の祝い」101歳が「百一賀の祝い」といい、100歳以上の長寿祝いは毎年行います。
ちなみに110歳以上のお祝いを「皇寿(こうじゅ)の祝い」または「珍寿(ちんじゅ)の祝い」と呼んでいます。