訪問やおもてなしの基本は相手に対する心遣いです。「こんなときどうしたら?」と悩んだときは、 相手の立場に立ってみると対処方法がわかることが多く、忘れていた常識にも気づくはずです。
A お茶をごちそうになったら帰る予定だったのに、いつの間にか夕食の用意が。予定外のことでもせっかくの好意なので、時間が許すなら素直にお受けしたいものです。
でも、都合が悪いときはどう断ればいいのか悩んでしまいます。
そんなときは「せっかくですが、今日は7時までに帰らなければなりませんので」などど理由を言って断ってもかまいません。
当日の誘いなら、理由をはっきり言えば先方もわかってくれるはずです。むしろ、あいまいな返事をするほうが準備をしている相手に失礼です。
最初から2時間程度の訪問でと考えているときは、訪問の約束をしたときに「夕方までに失礼します」「○時には失礼します」と、はっきり帰る時間を伝えておくほうが親切です。
また、急に用事ができ早く帰らなければいけないようなときは、前日までに先方に電話を入れて「おうかがいするのを楽しみにしています。○時ごろには失礼いたしますので、どうぞお気遣いなく」
と、訪問の確認をしながらひと言添えておくようにしましょう。
目上の方のお宅を訪問するときなどは、当日よけいな心配をさせないように十分気を配りたいものです。気持ちのよい訪問をするには約束をするときのちょっとした心遣いがポイントです。
A 日本茶なら、カーペットやじゅうたんにこぼしてもサッとふけばシミにもなりませんが、コーヒーや紅茶、ジュースでは大変。
すぐに自分のハンカチやタオルを出してシミが広がらないように押さえましょう。ボーっとしたままで「どうしましょう」ではマイナス点。相手に誠意も伝わりません。
とりあえずの処置が終わったら、きちんと謝り「クリーニング代を払わせてください」と、申し出るようにします。
親しい間柄なら、クリーニング代に相当する額をティッシュに包んでその場で渡してもかまいません。相手が遠慮した場合でもそのままにせず、後日お菓子などをお詫びの手紙とともに送るのが礼儀です。
訪問先でカップや調度品を割ってしまった場合も同様です。同じものがあればそれを買ってお詫びをするのが最良の方法ですが、ない場合は先方の意向を確かめてから、
それ相当額の弁償方法を考えるようにします。
A お客さまのお菓子にケーキを用意したら、お客さまからもケーキの手みやげが。ときにはこんなこともあるものです。
本来ならば自分で用意したお菓子を出すのがマナーですが、せっかく買ってきていただいたのに自分で用意したケーキをお出ししたのでは「ダブってしまい迷惑だったかしら」と、お客さまに気を遣わせてしまうことになります。
用意したお菓子や果物が重なったときは「お持たせで失礼ですが、とてもおいしそうなので」と、お客さまからいただいたものをお出しするほうがスマートです。
家族にも「これちょうだいしたのよ」と伝えるようにすれば、話題作りにもなりお客さまにもうれしいはず。
親しい間柄ならその場で手みやげを開けてもかまいません。また、誕生日のプレゼントなどは必ずその場で開けて喜ぶほうが相手もうれしいものです。
A ほうきを逆さに立てたり、お茶を差し替えたり、「ぶぶ漬けを召し上がりますか?」と言ったり・・・。 お客さまにそれとなく帰ってほしいと伝える方法は昔からいろいろあったようです。それだけ長居をする客は嫌われていたということです。 用件が済み、お茶も2〜3回差し替えて十分にもてなしたのであれば「買い物がありますから、帰りは駅までご一緒させてください」 「申しわけありませんが、○時から用事があるのでどうぞそれまでごゆっくりなさって」とにこやかに言えば、あまり角も立たないはず。 時計をチラチラ見るよりは、時間をくぎってくつろいでいただくほうがスマートです。