相手に心を伝える贈り物には、「こうでなければ」と決められたルールはありません。それだけに困ってしまうことが多いものです。 そんなときの対処の仕方や、失礼にならない贈り方、お返しのマナーなどもしっかり覚えて贈り物上手になりましょう。
A お祝いやお見舞いは相手への気持ちを贈るものです。本来は、お返しは必要ないというのが基本的な考え方です。
入園・入学・卒業・就職祝いは、何かと物入りなときですので贈り物をいただいてもお返しはしなくてよいことになっています。
お見舞いの場合は、全快したあとで「快気祝い」が贈られてくるのが常。病気で苦しい思いをし、入院費用もかさんでいるのに、たとえ内祝でももらうのは心苦しいときがあります。
そんなときは、「どうぞお気遣いなく」のひと言を事前に添えておきましょう。
お見舞いの品も、できれば相手の負担にならないようなものにするのがいちばんです。病状が重いようなときは花などを。本などが読めて動けるようならば、好きな本や切手を添えたレターセットを贈ったりしても喜ばれます。
お菓子や果物は病状によっては禁止されていたり、制限されているものもあるので、贈るときには必ず家族の方に聞いてからにします。親しい間柄や目下の人になら、現金でも失礼になりません。
4や9の数字を避けて「御見舞」と書いた白の祝儀袋に入れて渡します。
A 結婚、出産、七五三、長寿のお祝い、金・銀婚式、新築、受賞、病気全快のときなどには、「内祝い」を贈るのが昔からの習わしです。
これは、「わが家の慶事を、ともに喜んでいただきたい」という意味を込めて自発的に相手に贈るもので、決してお祝いをいただいたお返しではありません。
そのため、お祝いをいただいたか否かにかかわらず、一緒に喜んでもらいたい人にはすべて同じ品物を贈るのが決まりです。
最近では、お祝いやお見舞いをいただいたお返しに「内祝」と表書きして贈るケースが増えてきているようです。しかし、地方によっては七五三や新築のお祝いにお赤飯を配ったり、
長寿の祝いに記念品などを贈る習慣もありますから、お祝いを贈らないのに内祝いが届いてもあせらないで。こんなときはお礼を述べるだけで十分なのです。
A 昔からお返しの目安は慶事の場合、目下の人には全返し。目上や同等の方には半返し。弔事は目上、目下にかかわらず半返しか3分の1返しと言われます。
現在では弔事でも半返しが多くなってきましたが、お返しも贈るときと同様にいちばん大切なのは心です。形式的で高額なお返しや、贈られたらすぐに返すようなお返しは相手に対して失礼なだけ。
お返しを贈るときは失礼にならない金額で、1ヶ月以内にと考えておけばいいでしょう。
お祝いをいただいてもお返しをしなくてよい場合もあります。例えば、入園・入学・就職祝い。目上の方からのお餞別、目下の人からのお中元、お歳暮、お年賀。
勤務先からの慶事品。子どもへのお年玉。災害見舞い。内祝いをいただいたとき。「お気遣いなく」の送り状があるときです。
こうした場合は、お礼状を出しておけば十分。いただいてばかりでは気が引けるというなら、何かの折におみやげやプレゼントなどを贈ればいいでしょう。
A 人と人との心をつなぐ贈り物も、使い方を間違えると礼に反したり、ときには贈収賄という結果を招くことにもなりかねません。
理由のない贈り物は、はっきりと断る勇気が必要です。
特別お世話したわけでもない相手から贈り物を受けた場合は、とりあえず受け取り同額程度のお返しを。「今後はお気遣いなさいませんように」と手紙を添えておきましょう。
それでもまた贈ってくるようならば、いただいた品物より高い金額の品物か商品券を贈り、断りの手紙を同封します。
また、賄賂とも取れる品物が届いた場合には、開封せずに上から重ねて包装し、「立場上いただけません」とはっきり書いた手紙を添えて送り返しましょう。
包みは絶対に開けないように注意してください。